総務大臣の政策懇談会がICTニューディールを提言

09 3/2

 2015年までのICT政策の方向性を示すために設置された、鳩山邦夫総務大臣の私的懇談会であるICTビジョン懇談会は、日本が現在の経済危機から脱却し、今後持続的な経済成長を実現するための成長戦略の柱として、情報通信技術(ICT)産業を位置付け、2015年をめどにICT関連の新規投資によって100兆円の新規需要を創出することを目指すべきという内容の緊急提言「ICTニューディール」をとりまとめた。具体的に取り組むべき項目として、今後3年間に集中的に実施すべき重点施策8項目を提示している。総務省はこれらの政策を政府に答申する。

 ICTビジョン懇親会は提言の中で、ICTを成長戦略の柱とする根拠として、ICT産業は2006年度に95兆円の市場規模を有し全産業の約1割を占めていることに加え、あらゆる分野において業務の効率化や新しい産業の創出を促進する触媒効果があることを示している。
  これにより、2015年頃に市場規模を倍増させるともに、社会経済が抱える諸問題をICTの利活用によって解決し、国民がICTの進化を実感できる環境の実現を目指すべきとしている。
  提言ではまず、地上テレビ放送のデジタル化を円滑に実施するための積極的な施策展開を推進する。「世界を常に1歩リードする」情報通信基盤の早期実現により、国民の利便性向上を目指すべきとしている。
  政府に対しては、各府省がビジネスプロセス改革に本腰を入れて取組み、クラウド・コンピューティング技術によって情報システムを統合する「霞ヶ関クラウド」の実現などにより、現在年間で約6千億円費やしているシステム構築・運用コストの大幅な削減を求めている。
  国民の生活を支援するジャンルでは、医療・教育分野において、特区の創設を含めたICT利活用の加速化によって医療と教育サービスの質的向上を図るとともに、ICTの持つ「つながり力」を活用した地域活性化も掲げている。
  新しい産業の創出では、アニメ、テレビ番組、漫画などのコンテンツの海外展開を積極的に支援し、デジタルコンテンツ市場の拡大ならびにクリエイティブ産業の強化を目指すほか、自動車の自動走行システムなどの次世代システムに向けて、新産業を創出するための環境整備を図るべきとしている。


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総務省 「ICTビジョン懇談会」緊急提言