厚生労働省が新型インフルエンザ情報収集システムをSaaSで構築

2010 1/25

 厚生労働省は、国内における新型インフルエンザ感染者の情報を管理するためのシステムを導入した。感染者の情報は、まず医療機関や学校、社会福祉施設から全国の保健所に送られ、都道府県や市などの新型インフルエンザ対策本部を経て最終的に厚労省に一元化される仕組みとなっている。同システムは、独自に作りこんだ場合は通常半年以上かかるところを、富士通のSaaS型サービスを元に、システム導入の検討開始から1カ月という短期間で構築した。エコポイントの申請システムなど、政策・行政関連のシステム構築でSaaSの利用が進んでいる。

 現在国内では、各自治体が早急に子供や老人を中心にワクチンの接種を進めているという状況にあり、厚生労働省は、新型インフルエンザの発症情報を調査・集計してホームページで公開している。
  感染者数などの情報管理に関しては、緊急の対応が必要とされるため、これまでは保健所や自治体、厚生労働省の担当者がその都度手作業で対応してきた。
  新システムは、全国で集められた新型インフルエンザの感染情報は保健所に集められ、最終的にインターネットを通じて、リアルタイムで厚生労働省に集約される。データは一元管理され、蓄積したデータを利用した情報分析も可能となっている。
  今回の新型インフルエンザの情報管理システムは、富士通のSaaSサービス「新型インフルエンザ罹(り)患情報管理サービス」を利用して開発した。これにより、1カ月という短期間かつ安価でシステムを導入できた。
  SaaSによるシステム構築事例は、このほかにも経済産業省の「電子経済産業省アイディアボックス」や、環境省、総務省、経済産業省が進める「エコポイント申請システム」などがある。
  システムを迅速・安価に導入できるということ以外にも、システムの修正や追加にも速やかに対応できるという利点があるため、今後SaaS方式が、政治や行政における効果的なIT利活用を後押しすることが期待できる。
  なお富士通は、自治体向けに感染拡大防止のための情報管理システムや、都道府県や保健所のワクチン在庫管理などへの同サービスの提供を見込んでいる。

関連サイト

厚生労働省新型インフルエンザ関連対策情報のサイト

富士通新型インフルエンザ罹患情報管理サービス紹介サイト