オラクルがサン・マイクロシステムズを買収

09 4/27

 米オラクル社は、米サン・マイクロシステムズ社を74億ドル(約7300億円)で買収することを決めた。これまでサン・マイクロ社は、IBM社と買収交渉を進めてきたが、買収金額が折り合わず不成立に終っていただけに、今回のオラクル社によるサン・マイクロ社の買収は大きなインパクトを持つ。オラクル社のラリー・エリソンCEOは、「今回の買収で、アプリケーションからディスクに至る統合システムを設計できる唯一の企業になる」と発言しており、今後の市場動向に目が離せない状況となっている。

 サン・マイクロ社は、独自のOS「Solaris」とプロセッサー「SPARC」を搭載したUNIXサーバーで90年代までサーバー市場をリードしてきたが、2000年以降はウインドウズやLinuxの台頭とハードの価格低下で業績が悪化、立て直しのためにJavaやSolarisを公開するなど、オープンソース戦略を強化してきた。
  一方のオラクル社は、データベースで市場を押さえてからは、ERPのピープルソフトやJDエドワーズ、CRMのシーベル、BIのハイペリオンなどビジネスアプリケーションの買収を重ね、現在では米マイクロソフト社に次ぐソフトウェアベンダーとなっている。
  今回のサン・マイクロ社の買収で、Solaris、Java、開発環境など基盤系のソフト群が手に入ることで、基盤系からアプリまで網羅的に提供できる総合ソフトベンダーが誕生する。ソフト群はMySQL以外は両社とも重なる分野がほとんどなく、相乗効果が期待できる。
  一方で、サーバー製品、ストレージ製品、プロセッサーといったハード群も手中に収めることで、ハード市場への本格参入となる。これらソフト、ハード群により、クラウドコンピューティング事業をさらに推進する体制が整うことになる。
  買収後のオラクル社は、IT業界ではIBM社、HP社に次ぐ総合ベンダーとしてIT基盤からアプリケーションソフトまで提供できるようになるが、競合他社が重点を置くサービス事業という点ではサン・マイクロ社が持つリソースでは総合ベンダーとして片手落ちの感は否めない。今後はサービスビジネスへの本格参入がポイントになりそうだ。

 

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