国土交通省がICT利用の改革推進案を公表

07 6/4

 国土交通省は、ICT(情報通信技術)を最大限に利用して国土形成や社会資本整備、国際輸送から地域交通までの管轄分野でイノベーション(改革)を促すための大綱「ICTが変える、私たちの暮らし―国土交通分野イノベーション推進大綱」を公表した。交通分野のICT化で生活の質の向上と経済成長を促すものと位置付けて、まず汎用性の高い共通基盤を「スピードをもって構築する」としている。特に物流はグローバル対応が欠かせなくなっており、大綱では「世界への発信を意識した戦略が必要」としている。

  ICTを活用したイノベーション戦略は、政府や経済産業省、総務省、そして厚生労働省が相次ぎ発表している。特に政府のIT新改革戦略に沿った形で、今後の競争力強化と経済発展を促す国土交通分野におけるICT活用に、ようやく動きが出たことになる。
  新大綱は、第1の取組みとして個々のICT化推進に加え、多くの利用者が多様な利用に使える汎用性の高い共通基盤の構築を掲げた。
  具体的には、位置情報などを共通化した地理空間情報基盤の整備、ICタグやセンサー、ICカード、ITSなどで「ヒト・クルマ・モノ」と情報を結びつけた位置情報の自動把握基盤の整備、国交省が保有している全国網のネットワーク基盤の活用推進などになる。
  これを踏まえたうえで、一体的に進める重点プロジェクトを決めた。それは「いつでも、どこでも、だれでも、その場で必要な情報にアクセスできる社会の実現」「防災先進社会の構築」「テロ対策技術の高度化による安全の確保」「物流サプライチェーン全体の効率化・安全性向上」「ITSを活用した世界一安全な道路交通の実現」「東アジア共通IC乗車券の実現」の6項目となっている。
  中でも物流サプライチェーンは、ロジスティクスが世界規模でつながり、荷送人から陸海空の物流事業者、荷受人までを結んだ情報の共有化が求められているが、ICタグなど各種技術の標準化をはじめ、データベースの構築・選定など課題が山積している。
  こうした中で同省は、共通基盤の構築を含めた具体的なプロジェクトの推進は、その開始時期、開発と実証実験、実用化などの大まかなタイムスケジュールを立てて推進することになる。

 

国土交通省「ICTが変える、私たちの暮らし―国土交通分野イノベーション推進大綱」