ISIDが移動履歴で知人関係を可視化するアルゴリズム開発

14 3/24号

 電通国際情報サービス(ISID)は、放送大学川原研究室と共同で、商業施設などの特定エリア内に滞在する不特定多数の人物が知人であるかどうかを、スマートフォンの移動履歴から類推する「知人類推アルゴリズム」を開発した。昨年11月に、大阪市の複合大型商業施設「グランフロント大阪」において外国人観光客を対象とした実証実験を行って有効性を検証、今月シンガポールで開催された学会で、成果を発表した。ISIDは成果を元に、2020年の東京オリンピック開催に向けて、訪日外国人観光客の“おもてなし”を実現する街のコミュニケーション基盤の開発に取り組む。
 グランフロントでは、広範囲な敷地に屋内測位システムと大型デジタルサイネージを設置し、訪れた客に対してプッシュ型で情報を配信するといったICTを活用した先進的な情報提供の取組みを実施している。ISIDは、ICTコミュニケーション基盤を提供するとともに、大阪府との連携のもとで、継続的に最先端機能の実証実験を展開している。
 その一環で昨年11月、大阪府の友好都市であるフランスのバルドワーズ県と共同で、フランス人観光客を対象にユーザーの「チェックイン」情報を契機として得られる行動履歴をもとに、不特定多数のユーザーから知人を類推する手法などの実証実験を行った。その結果、複数の被験者が同時にグランフロント大阪内に60分間滞在した場合、被験者同士が知人か否かを100%の確度で類推でき、知人類推アルゴリズムを確立させた。
 現在O2Oマーケティングとして、個人のスマートフォンへプッシュ型の情報配信が試みられているが、そういったサービスが加熱すると不要な情報配信も増えるため、情報を選別する仕組みが必要となる。
 そこで、最も信用できるのは知人からの情報という根拠のもと、ソーシャルメディアのつながりを基にした人間関係の抽出などが行われているが、今回の知人類推アルゴリズムを利用すると、SNSの利用の有無を問わずつながりを把握することができる。
 ISIDは、同所での実証結果を元に、ソーシャルシティプラットフォーム「プラフープ」に機能を実装し、商品として展開していく予定だ。また、このほかにも、ICTを活用してどんな情報を提供すれば海外からの観光客が行動範囲を広げられるかといった検証を行うなどして、東京五輪時にそれぞれの国民性にあったアプローチによりコミュニケーションストレスを軽減し、日本滞在中の行動を支援できるようなプラットフォームの開発を目指す。