経産省が次世代高度IT人材像を定義
12 7/30・8/6合併号
経済産業省の産業構造審議会情報経済分科会人材育成ワーキンググループ(WG)は、次世代高度IT人材像や今後のIT人材育成についての中間報告書をとりまとめた。同WGは07年に「高度IT人材の育成を目指して」を提出し、それが現在国内のIT人材育成政策の指針となっている。それから5年経ち、社会環境の変化により内容の見直しの時期にさしかかったという認識のもと、同WGでは新たなIT活用時代における高度IT人材の人材像および育成をどう行うべきかという議論を改めて行った。8月18日までパブリックコメントを募集中で、それを踏まえて最終報告書を提出する。
報告書では、これまでのITは、既存産業のビジネス効率化を追求してきたが、これからは電力との融合によるスマートグリッドのように、他の産業と結びつく「IT融合」によって新しいサービスを産み出す役割を担いつつあるとしている。
そういったITに求められている状況の変化から、現在はITを使いこなして新たなイノベーションや製品、サービスを生み出せるという高度IT人材の育成が求められているというのが、人材育成WGの新たな見解となっている。
そこで新たなIT人材像の職種を示している。新製品・サービスの創出プロセスを想定しているため、まず市場や顧客、データを分析してビジネスの種や価値を発見する「フィールドアナリスト」が1種類目の職種となる。
次にサービスをデザインする段階で、ITを使ったサービスの内容を検討する「ITサービスデザイナー」、企画されたサービスをIT実装する「ITサービスアーキテクト」、高い技術で独自性の高いサービスを開発する「イノベーティブエンジニア」、企画されたサービスをビジネスとして成立させる「ビジネスデザイナ」を定義している。
最後に事業全体を統括するのが「プロデューサー」となり、次世代高度IT人材像として合計6種類の職種を提示している。
高度IT人材に求められる能力としては、IT活用力とIT技術力からなる「IT関連能力」と、新たな事業やサービスを産み出すために求められる「事業創造能力」、そしてIT分野以外のロジカルシンキングやリーダーシップ、コミュニケーション、交渉力などの「その他の基本能力」の3種類を定義している。このほかに、職種別の役割固有能力もまとめている。
また報告書では、高度IT人材のほかに第2部で情報セキュリティ人材、第3部でシルバーと若年層、グローバルに分けた階層別の人材育成にも触れている。