経済産業省がクラウド関連施策を公表

10 8/23

  経済産業省は、クラウドコンピューティングに関する報告書を公開し、今後のクラウド関連施策を明らかにした。「市場の健全な発展を通じたクラウド基盤の整備」「データの外部保存・利活用を促す制度整備と社会的コンセンサス形成」「イノベーション創出の後押し」の3種類の政策を一体として進めていくことで、クラウドコンピューティングの普及を図る。これにより、2020年までにグローバルで新市場を創出し、累計で40兆円超の新しい市場を創出するとともに、情報処理にかかわるCO2排出量を1990年比で約7%削減できるとしている。

 同報告書は、慶應義塾大学の村井純教授などの有識者による「クラウドコンピューティングと日本の競争力に関する研究会」が、クラウドコンピューティングで日本の強みを活かしていくためにユーザー、サービス提供者のそれぞれが取組むべき課題を検討し、その結果をとりまとめたものとなる。
 それによると、クラウドコンピューティングの普及は、さまざまな新しいサービスや社会像を産み出し、2020年に40兆円超という高い経済効果をもたらすとしている。
根拠として、購買履歴の分析やターゲット広告などで個人需要を発掘でき、ヘルスケアサービスなど新しい消費者向けのビジネスモデルが実現し、農業をはじめとした産業の高次化、スマートグリッドやITS(高度道路交通システム)などの社会インフラの効率化を実現するなどの新しいイノベーションが次々と誕生することを挙げている。
 そこでクラウドの推進にあたり、「データ」「プラットフォーム」「人材」に関する整備を行っていく。
データに関しては、著作権法により外部委託や2次利用のサービス化が進まないなどの現状に対し、新たなサービスの進展に対応しつつ、権利者に利益をもたらす仕組みを検討する。プラットフォームの分野では、データセンターの設置を促進するための支援を行う。
 クラウドの分野では欧米企業が先行している状況だが標準化はなされていない。そこで、日本のセキュリティや信頼性、運用サービスのきめ細かさという強みを主軸としたクラウドコンピューティング関連技術、サービス品質、ビジネスプロセスに関する標準化を主導してグローバルな競争優位性を確保することを目的に、これらを主導できる人材を育成する。

    このほかに、政府調達におけるクラウド調達基準の検討や、大量のデータを利活用した公共サービスやスマートグリッドなどのイノベーション創出のための実証事業を行う。

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経済産業省 「クラウドコンピューティングと日本の競争力に関する研究会」報告書の公表〜経済産業省はクラウドコンピューティングを応援しています!!〜