産構審がイノベーション促進に緊急提言

07 2/5

 経済産業省産業構造審議会は、経済成長戦略大綱などで提唱されている「イノベーション・スーパーハイウェイ構想」の実現に向け、効果的なイノベーション促進には課題の総合的解決やスピードが肝心との考えから、同構想の中核的概念となる「双方向・融合によるイノベーションの実現」を明確に打ち出す緊急提言を行った。第1歩として、産業技術力強化法などで取組みを明文化し、基盤整備を進める必要性を説いている。日本は少子高齢化、国際競争激化の中にあり、経済成長の促進が欠かせない。今回の提言は07年度予算での強化だけでなく、将来を見据えた取組みが必要と指摘した。

 今回の緊急提言を行ったのは、経産省産業構造審議会産業技術分科会で、効果的にイノベーションを促進するための課題や解決策を昨年11月から検討してきた。
 その中で、様々な課題を総合的に、かつスピーディに解決していくこと、解決の方策がすべて出そろうのを待たずに可能な部分から順次、実行していくことが必要との結論に至っている。
 経産省の経済成長戦略大綱および新経済成長戦略では、イノベーションを創出する仕組みとして「双方向の知の流れの円滑化」「異分野の融合」「出口(価値創造)との効果的なつながりの構築」を推進する「イノベーション・スーパーハイウェイ構想」を打ち出している。
 これを加速するため、07年度予算による対応に加え、新技術による市場創出などを推進するための法律「産業技術力強化法」などで取組みを明確にすることを求めたもの。具体的には、「将来の活用を見据えた研究開発」「事業側の視点で科学的知見を行う」「異分野の知識の融合」の点で、これらを法律や国の方針として明らかにする。
 特に、研究者などが自らの能力と現状を把握して的確に研究開発活動を展開すること、その成果を企業が戦略的に活用できる能力を育成し実践できることが重要になるとしている。そのためには、国や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、産総研などが支援する必要があると説いている。
 現在は技術の単独利用だけでは新たな市場創出が難しく、様々な分野への応用と、それを活用する市場のレベル向上も求められている。今回の提言により、基盤を整備してイノベーションを促していく考えだ。


 経済産業省 http://www.meti.go.jp/