経産省が情報システム開発の取引契約に中間報告

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 経済産業省は、ITが社会インフラとして浸透したことを受け、その取引形態や契約の信頼性を高めるため「情報システムの信頼性向上のための取引慣行・契約に関する研究会」を設置してその内容を検討してきたが、このほど中間報告書を公表し、広く意見を募集することにした。IT業界では独特の取引慣行があるが、システムの信頼性を確保するためにはユーザーとベンダー間の取引関係や役割分担を可視化することが重要との判断から、契約のあり方などをガイドラインとして明確にしていく。今回は「初めて運用・保守の領域に踏み込んだ」としている。

 経産省は、昨年6月に「情報システムの信頼性向上に関するガイドライン」を策定し、その中で標準的な契約のあり方を尊重した「モデル契約の策定・活用」をあげ、その中で商慣習や契約、法的要素に関する事項として「契約における重要事項の明確化」をうたっている。
 今回はこれを受け、信頼性ガイドラインの遵守と取引の可視化、日本版SOX法への対応、オープン化対応などを基本に理想的な取引・契約モデルを創出するために、「モデル契約プロセス」「モデル契約書(企画・開発、保守・運用の各フェーズの基本契約書)」「モデルドキュメント」の3点について策定した。
 内容は、まずモデル取引・契約書の全体像を規定している。対象システムは信頼性ガイドラインに記載された重要インフラと企業の基幹システムだが、現在改定中の「共通フレーム2007」による標準化されたシステム企画・開発・運用・保守プロセスを参照する。
 ソフトウェアの開発モデルは、経産省の指導のもと情報サービス産業協会(JISA)や電子情報技術産業協会など業界団体が策定しているが、その違いも比較している。例えば「企画プロセス」では、上流工程のシステム化計画は今回のモデル契約書は「ユーザーが責任を負うべきフェーズである」として対象外としているが、JISAは準委任型の企画支援業務としている。一方、要件定義は、モデル契約書では準委任型の要件定義作成支援業務だが、JISAでは請負型の基本設計業務となっているなど違いを明確にした。
 今回初めて「保守と運用に踏み込んだ」のが特徴だが、運用は多彩なサービス形態が存在するために、各サービスモデルに共通な事項についてのみ示している。


 経済産業省 「情報システムの信頼性向上のための取引慣行・契約に関する研究会」中間のまとめの公表について