経産省が一般企業向けにスキル標準を公開

06 7/3

 経済産業省は、情報システムを利用するユーザー企業向けの標準的なスキルを明らかにする「情報システムユーザースキル標準(UISS)」をまとめた。企業戦略に沿った情報システムの構築と利用者側の情報リテラシー(活用能力)向上を促進することで、情報システムの信頼性と安全性を確保し、企業の競争力を強化することを目的としている。今回は「ユーザー企業の情報システム機能を体系的に整理したにとどまる」ことから、実際の業務への適用といった導入および活用方法については引続きガイドライン化を進めていくことになる。

 現在、ユーザーの情報システムの問題点として、「経営戦略とIT戦略のギャップ」、アウトソーシング比率の高まりによる「空洞化」、CIOの不在など「ITガバナンス機能の不在」、仕様が不明瞭のままに開発する「要件定義能力の低下」、予算ありきの「IT投資の戦略不在」そして「利活用の未熟」が指摘されている。
 そうした問題点を解消するためにも、ユーザーの情報システムの機能を洗い出し、必要となるスキルと知識を体系的に整理、可視化して一覧にすることにした。これにより、より戦略的な視点でシステムが構築され、安定性と信頼性も確保されるとしている。
 今回のUISSは、「タスクフレームワーク」「タスク概要」「機能・役割定義」「人材像とタスクの関連」「人材像定義」「キャリアフレームワーク」の6項目で構成している。タスクは情報システムの機能をいい、タスクフレームワークは経営的観点から事業戦略を含めて体系的に整理したもの。
 システム利用者の情報リテラシー向上にも言及している。経営戦略に沿ってIT化が実施されたとしても、運用や利活用に対する意識が低いまま使用すると、操作や入力などで不具合が生じ、これが大きな問題点となってくる。そこで、情報システムかかわるすべての組織、人材を対象にした。つまり、一般職員に対するIT教育への取組みを大きく変えていくことになり、体系立てたUISSが重要な意味を持つことになるわけだ。
 今回は情報システムの機能の明確化が主目的だったが、今後は具体的なシステム導入及び運用に関するガイドラインなども策定する考えだ。


 経済産業省の発表 http://www.meti.go.jp/press/20060623003/20060623003.html