IPA・ITCAなど12組織が次世代高度IT人材像を定義

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 産学官12組織で次世代高度IT人材像を検討する「融合IT人材育成連絡会」は、中間報告を発表した。次世代型の高度IT人材を「融合IT人材」とし、今回融合IT人材の育成を検討する際の対象および範囲を明確にするとともに、融合IT人材育成の能力を高めるための育成手法や育成の全体像、要素を定義した。昨年9月、経済産業省産業構造審議会(産構審)情報経済分科会人材育成WGが、次世代高度IT人材の育成についての報告書を発表し、イノベーションを創出できる次世代高度IT人材の育成が喫緊の課題と問題提起したことを受け、連絡会では具体案を検討している。

 

 現在日本のIT技術者育成戦略は、産構審が定義した高度IT人材像のもとに行われ、情報処理技術者試験、ITスキル標準なども一本化されて構築される形となっている。
  ところが、時代の変化に伴い、IT技術者に求められるスキルも変化の様相を呈してきたことから、産構審は昨年、新たな高度IT人材像を定義した。報告を受け、情報処理推進機構(IPA)とITコーディネータ協会(ITCA)が共同で呼びかけを行い、7月にさらに10組織の参加のもと、「融合IT人材育成連絡会」(連絡会)を立ち上げた。
  連絡会には、両団体のほか、経団連で次世代IT人材育成のワーキンググループを組織した日本電子計算の重木昭信社長や、長く産構審の中心メンバーとして活躍する、旧CSKのAITコンサルティング有賀貞一社長、さらに情報サービス産業協会(JISA)や日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)、日本コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)などの業界団体からもメンバーが参加し、これまで検討を行ってきた。
  高度IT人材については、技術に軸足を置いてきたこれまでに対し、「ITを活用することで、IT産業はもとより広く産業全体の領域において、技術や市場、プロセスなどの組合せをデザインすることでイノベーションを創出し、新たな価値を生み出し社会に適用できる人材」と定義した。
  イノベーション人材を育成するためには、ビジネスとITの融合が必要なため、高度IT人材を融合IT人材と呼称し、IT分野とビジネス分野の両方から融合IT人材として成長できる育成の枠組みを提示した。
  連絡会の活動は3月までを予定している。今後は、研修などによる実践的学習の場を用意するほか、育成環境を評価する成熟度モデルも開発するなど具体化した育成施策を取りまとめ、政府に提言を行っていく。

情報処理推進機構(IPA)

ITコーディネータ協会(ITCA)