産総研が医療機器のソフト開発を支援

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 産業技術総合研究所(産総研)は、内視鏡画像処理などを行う医療機器開発用のソフトを開発するためのソフトウェア開発キット(SDK)「SCCToolKit(エスシーシーツールキット)」を無償公開した。これまで薬事法上の規制で、同法上の医療機器の機能を持つソフトはハードと一体で製造販売するものとされており、ソフト単体での製品は医療機器としての製造販売が認められていなかったため、ソフト制御の医療機器は国内では製品化できず、産業として育っていなかった。産総研は、ソフトの公開に併せ、ソフトを中心に構成される医療機器の開発を支援する活動を展開する。


 SCCツールキットの主な機能は、市販のハードを併用したHDTV映像の取り込み、USB接続カメラなどからの映像の取り込み、スマートフォンを使った設定変更などの操作、モニターへの画面表示となっている。
これらは、産総研が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトなどで大学などと共同開発した大掛かりな研究用のシステムを、手術室での医療スタッフなどのコンピューターの専門化でなくても利用できるようにするため、小型で安価なパソコンで動作し、簡単な機能に限定して医療機器のソフト開発用に再編したものとなる。
 特に、撮影した映像の取り込み時間が、遅れ時間0・2秒となり、専用ハードウエアを使用する既製品と同等の性能を実現している。
 医療機器の世界市場は年率約8%で拡大している成長分野だが、規制もあって国内の医療機器市場は約6千億円の輸入超過となり、欧米のベンダーに遅れをとっている。
 そういったなか、5月に閣議決定された薬事法改正案で、医療機器の機能を持つソフト単体(ソフトウェア医療機器)の製造販売を認める方向となったことを受けて、産総研は開発キットを無償公開することにした。ただし、ツールキットおよびプログラムあくまで研究用のもので、薬事法の製造販売承認を受けたものではないとしている。

   産総研は、開発キットを利用する企業や研究機関と、ソフトウェア医療機器の共同研究を推進し、ソフト技術を中心とする医療機器の開発・臨床実用化を支援する活動を行う。

産業技術総合研究所