富士通が地域医療向けネットワークサービスをクラウド提供

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 富士通は、SaaS型の地域医療向けネットワークサービス「ヒューマン・ブリッジ」を開始した。中核病院や診療所、介護施設など、地域の医療機関が保持する患者の診療情報を、データセンターを通じてネットワーク経由で他の医療機関から参照できるようにし、地域医療ネットワークの構築を支援する。インターネットとPCがあれば、医療機関は新たにICTシステムを構築しなくても利用できる。同サービスを利用することで、診療所から中核病院への患者紹介や、病院間での入院患者の移動などがスムースに行えるようになり、地域医療連携が促進される。

 

 ヒューマン・ブリッジを利用する際は、まず中核となる病院がゲートウェイサーバーを導入して環境を用意し、その地域のクリニックや介護施設が無償で電子カルテのデータを閲覧できるようにする。地域医療ネットワークの規模は、最大で1つの市単位で構築でき、中核病院が5施設、数百施設の診療所で運用できるとしている。
 中核医療機関の電子カルテシステムに登録されている患者情報を、各医療機関に設置するゲートウェイサーバーに保持し、富士通のデータセンターの中継サーバーとリアルタイムに連携させる仕組みとなっている。
HL7やDICOMなどの医療情報交換のための標準規格および標準化ストレージ技術を採用しているため、各医療機関が異なるベンダーの電子カルテシステムを利用していても、シームレスに情報を共有することができる。これまで同様のパッケージ製品を販売していたが、大手病院以外でも導入できるようにクラウド型でサービスを開始した。
 現在多くの病院が経営に苦しみ、さらに地方を中心に医師不足が発生している状況下で地域医療ネットワークを構築する動きが進んでいる。富士通は、国民1人1人の健康情報全般を管理する「パーソナル・ヘルスケア・レコード(PHR)」、あるいは政府が提唱する「どこでもMy病院」の実現に向けたクラウド型サービスの第一弾として同サービスを提供する。

   価格は、ゲートウェイサーバーの構築が1千万円から、サービスの利用が月額10万5千円からとなっている。2012年度末までに中核医療機関300施設への導入を目指す。

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