日産自動車、検証ソフトをタタと共同で開発

14 1/27号

 日産自動車は、インドのタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)社と共同で、自動車組込みソフト開発用の大規模ソースコード解析ソフトを開発した。ソフトのバグを発見するための静的解析ツールで、開発標準規格の「MISRA―C」、機能安全の国際標準規格「ISO26262」にそれぞれ準拠し、数学的に整合性を証明する形式手法(フォーマルメソッド)を採用しており、開発の初期段階での高度な検証が可能になる。日産は、TCSに特許とノウハウのライセンスを供与し、TCSの「TCSエンベデッド・コード・アナライザー」(ECA)として製品提供される。
 現状のソフト開発は、ソースコードの行数が膨大に膨れ上がって複雑化しており、それに伴ってソフトのバグや完成品における不具合も発生しやすくなっている。当然、バグの発見や修正には手間と大きなコストがかかる
 さらに、これまでの設計、開発、検証・テストを順番に進めていくV字型のウォーターフォール型の開発手法では、検証・テストが最後の工程になり、構造的にプログラミングが終わった段階で不具合が発覚する仕組みのため、修正する作業が広範囲に及んでしまうという問題を抱えている。
 これに対しECAは、形式手法を採用した開発ライフサイクルの初期段階で利用する静的解析ツールのため、標準的なテストや検証プロセスにおいては検出することが難しいコーディングエラーを自動的に検出することができる。初期段階で検出するため、トータルの開発コストや工数を抑えられる。
 ECAは、大規模かつ安全性が求められる自動車向け組込みソフト開発のノウハウがベースになっている。そのため、1千万行以上の大規模ソフト解析に対応、グローバルの機能安全規格や自動車向け開発標準に対応したコーディングルールチェックをサポートし、高い信頼性や安全性が求められるソフト開発を支援する。日産では、主にカーナビゲーションのソフトのソースコード解析に利用している。
 また、自動車向け以外にも、医療やロボット、製造、電機など、さまざまな産業分野向けにカスタマイズして利用することができる。国内での製品販売およびサポートは、TCSのパートナーである横河ディジタルコンピュータが行う。
 日産は、開発した技術ライセンスの販売で得た収入を新たな研究開発に充て、技術開発力を高めていくとしている。TCSは、同製品により日本市場での顧客増を図る。