NIIがツイッターを用いたネット選挙の効果を検証
13 10/7
国立情報学研究所(NII)は、7月に実施された2013年の参議院議員選挙において、「ツイッター」を用いた選挙運動が、投票と政治的態度に及ぼす効果を実証した。参院選挙以前から日本維新の会の橋下徹共同代表のツイッターを通じた発言が何かと話題となっていたなかで、同氏のツイート(つぶやき)を投票日前の約1カ月間フォローすることによる選挙活動への効果を、フィールド実験によって検証したものとなる。NIIは実験の結果を、ワーキングペーパー(英文)として公開している。
今回NIIが実施した研究は、ツイートの内容分析や選挙結果からの相関関係を分析したというものではなく、橋下氏のツイートをフォローした人としない人とを比較したフィールド実験によるものとなる。
まず偏りを避けるために、インターネット調査を用いて、日本維新の会の橋下徹共同代表、自由民主党の安倍晋三総裁、民主党の細野豪志前幹事長の3氏をフォローしていないツイッター利用者を抽出し、そこから実験参加に同意した参加者を、2種類のグループに無作為で配置した。
片方のグループに対しては、橋下氏のほかに安倍氏、細野氏をフォローするように依頼し、もう一方のグループには、安倍氏と細野氏のみをフォローするように依頼した。
投票日の約1カ月前からフォローを開始し、投票日の締切時間の直後に測定を行ったところ、橋下氏をフォローしなかった後者のグループでは、橋下氏に対する感情温度が実験期間中に0から1
00点の設定範囲の中で3・86ポイント低下したのに対して、前者では0・19ポイントの低下に留まっていた。
一方、日本維新の会に対する感情温度は、後者のグループが実験期間中に0・49ポイント低下したのに対し、前者のグループは3・5ポイント上昇しており、両グループ間で如実な違いが現れた。
これに対して、政治的争点に関する態度や知識に関しては効果は見られず、日本維新の会に対する投票が促される効果も見られなかったとしている。
これらの結果から、ツイッターを用いた選挙キ
ャンペーンに関しては、政策に関するコミュニケ
ーションに対して効果はないものの、タイムライン上でメッセージに繰り返し接触すること単純接触効果を生み、政治家や候補者に対する好意的な態度が生れる可能性を示したとしている。