JEITAとJISAが政府システム調達の改善に要望書
12 12/3
電子情報技術産業協会(JEITA)と情報サービス産業協会(JISA)は、政府に対して情報システム調達の改善に関する要望書を連名で提出した。8月に政府有識者会議より「政府情報システム刷新のための共通方針(提言)」が発表され、その後政府情報統括責任者(CIO)も配置され、国民本位の電子政府の実現に向けた情報システムの在り方について見直しが行われているが、両団体は適切な調達方法の採用と、政府情報システムを適正に構築するための発注力を備えた、政府におけるIT人材の確保の重要性について訴えた。
政府情報システムは、規模の大きさと情報システム開発の多重下請構造という性質上、入札する企業が限定され、随意契約や“1円入札”といった問題が指摘されてきた。そこで政府では、特定ベンダーの技術に依存しないシステムのオープン化や、コストの適正化、分割発注、透明性の確保といった方向で、調達方法の見直しを行ってきた。
現状の調達方式では、予定価格を基準として総合評価または入札最低価格の企業が落札するが、この場合、前提としてシステムの調達仕様や評価基準が明確になっており、それに基づいて評価されていることが必要条件になる。つまり、仕様の策定からシステムが完成するまで発注者の適切なガバナンスが重要になる。
それでも実際には、特許庁の基幹システム開発プロジェクトなど、計画の中断や見直しといった問題も発生しており、現状方式が必ずしも機能しているとはいえない。
今回両団体が提言した内容は、「調達の特性・リスクに応じた適切な調達方式」「実効的に技術力を評価するための調達方法の確立」「情報システム調達にかかわる契約制度の見直し」「調達改善効果を高めるための民間の業務システム構築にかかわる知見の活用」となっている。
発注者ガバナンスやシステムの特性および難易度、リスク、ミッションクリティカル度合いなどを考慮して「企画競争」「競争的対話」「総合評価」「価格」など複数の方式から調達方式を柔軟に選択できるようにすべきとし、調達方式が画一的にならず、適正な調達の方式を検討・選定できるように基準を示した。