JASAがサービスロボットの制御ソフトで標準仕様策定へ

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 組込みシステム技術協会(JASA)は、今後普及が予測されるサービスロボットのソフト開発におけるオープンプラットフォーム「オープンELフォー・ロボット」を策定する。オープンELは、OSやハードウェアの上位層に実装し、モーターなどのデバイスごとの違いを吸収して異なるハードウェアでもすぐにアプリケーションを動かせるようにする。JASAの会員企業をはじめ、産業技術総合研究所(産総研)、東京都立産業技術研究センター、首都大学東京、名古屋工業大学、ロボット関連団体と連携して仕様策定作業を進め、今年度末から仕様のドラフトを一般に公表する。

 現在日本は、産業用ロボット分野において世界最先端の技術を有しているが、これから普及が予測されるサービスロボットの分野では状況が異なる。海外を見ると例えば米国では、現政権のもとNASAでロボット開発プロジェクトを実施し、国をあげてサービスロボット分野に注力する姿勢を示している。
 このような背景から、プラットフォームの移植作業などで国内メーカー同士が非競争領域で苦労することや、開発環境の制約などを受けず、今後健全に国内のサービスロボット産業が発展していけるように、JASAは標準仕様を策定する。
 すでにロボットソフトの標準仕様として、産総研などが開発した「RTミドルウェア」や、米ウィローガレージ社が開発した「ROS」といった標準仕様がある。これらは、サービスロボットのアプリケーション開発における標準仕様で、特定のプラットフォーム上で部品開発を可能とするロボットアプリ開発基盤となる。
 一方、JASAが策定するオープンEL仕様は、これらよりも下位層のロボットの制御システムを対象としている。オープンEL仕様に準拠することで、異なるハードウェアでもアプリケーションを変更せずに、すぐに動作させることができる。
 これにより、既存のすり合わせ型から組み立て型へとロボットの組込みシステム開発手法を効率化し、ソフトウェア部品の再利用性を高め、開発コストを抑えるといったメリットが期待できる。

 来年3月には、JASAが実施する組込みソフト技術者教育プログラムのETロボコンで利用する走行体に対応する規格を公表し、2013年3月に民間企業やロボット工業会と連携のもとオープンELフォー・ロボットのバージョン1を発表する予定となっている。

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組込みシステム技術協会