経団連が高度ICT人材の産学官連携強化を提言
11 10/24
日本経済団体連合会(経団連)は、今後の日本をけん引していく高度ICT人材の育成に関して、産官学の連携強化を提言した。今後のビジネスのグローバル対応や震災からの復興、医療などの社会的な問題解決、新たな事業・サービスの創出は、「情報通信技術(ICT)の活用なくして実現できない」として、今後「大学・大学院」「政府」「企業」のそれぞれが取組むべき施策について言及している。経団連は、以前より産官学連携で高度ICT人材育成に関する取組みを実施してきたが、今回震災など状況の変化を踏まえて、改めて提言を行ったものとなる。
経団連は、2005年に提言「産学官による高度な情報通信人材の育成強化に向けて」を公表し、それに基づいて2007年から九州大学と筑波大学を拠点として、大学院で企業と連携したPBL(プロジェクトベースドラーニング)やインターンシップ受け入れなどによる実践的プログラムを実施している。
取組みは3期にわたって実施し、115名の人材を産業界に送り込むなど一定の効果をあげた。文部科学省の「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」の予算を受けて実施していたため、NPOに引き継がれた現在は、取組みを継続するための経費やノウハウの集積、他大学への普及といった部分で問題を抱えている。
さらに、今後の諸問題を解決するためには、ICTを活用して問題を解決する能力を備えたリーダー的な存在が、企業や自治体の中に必要としている。そこで今回、高度ICT人材育成を安定的で継続的な活動とすべきとして、産官学に対して今後取組むべき施策を具体的に示した。
これを受けて大学・大学院に対しては、産学連携による実践的教育の実施・拡大と、博士課程を含めたリーダー教育の実施を示した。さらに、日常でICTを利用する側にも語学と同様の基礎知識教育が必要として、一般教養としてのICT教育の充実も求めている。
政府に対しては、個々の大学と産業界による展開には限界があるとして、産学連携による実践的教育への支援を求めた。具体的には、省庁連携での予算的措置を求めたほか、開発された実践的教育資産の蓄積、普及拠点の構築を求めている。
関連サイト