経団連が今後のICT政策を提言
10 3/15
日本経済団体連合会(経団連)は、提言「新しい社会と成長を支えるICT戦略のあり方」を発表した。重点的に取組むべき分野として「政府のつながる化―電子行政の推進」「環境・エネルギー問題」「安心・安全な社会システムの構築」「新産業創造、地域力・アジア力の取り込み」「高度情報通信人材の育成」の5分野を挙げ、戦略の実現に向けた取組み例として、共通番号制度をはじめとした100項目を、実現に当たっての課題や実現時期などとともに示した。民主党政権下での新成長戦略およびICT戦略の策定を前に、需要の創出を含めて産業界の考え方を示した形だ。
経団連は昨年11月に「ICTの利活用による新たな政府の構築に向けて」を公表するなど、以前から電子行政を推進しており、今回の提言でも電子行政関連を重点分野のトップに挙げている。
ただし、電子行政は国民の理解を得られていないICT事業の代表格でもある。「コンクリートから人へ」という政策により、今はICTによる新しい需要および雇用の創出に期待が集まっているが、かつての住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)や電子申請システムなどと同様に国民の同意を得られないようでは、今後の電子行政の推進に支障をきたし、結果として国際競争力の低下にもつながる。
そこで、「オールジャパンの下での重点戦略遂行」という視点を提示し、ICT戦略遂行にあたり、国民や企業の十分な理解や支援を得ることが重要という見解を示した。
電子行政の前提は、国民が日常的にICTを利活用するネットワーク化されたICT社会の実現を目指し、これによって高齢化や環境などの現代社会が抱える問題を解決していくという考え方だ。そのために、政府全体の政策と情報の絶え間ない連携を実現するため、各府省をつなげていくことが今後の電子行政の推進にあたり重要としている。
さらに、電子行政の推進で業務の正確性や効率性、透明性、利便性を向上させ、政府業務に対する国民の不信感を払拭するとともに、国民が政府につながり、行政への参加および監視の仕組みを構築すべきとしている。
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