JISAが内部統制に指針策定へ

06 10/2

 情報サービス産業協会(JISA)は、情報サービス会社が遵守すべき内部統制についてのガイドライン作成に着手した。社会インフラの担い手として成熟した情報サービス産業は、その受注形態から元請企業と下請企業の多重構造をとっている。そこで08年度に適用される「金融証券取引法(日本版SOX法)」をベースに、外注先管理を含めた内部統制の整備を図ることにした。特に「業界の特性に合ったガイドラインの策定が必要との判断から動き始めた」(河野憲裕専務理事)としている。これに伴い、策定事業に関する委託先の公募を開始した。

 JISAが策定する内部統制ガイドラインは、当面は6月に法律化が決まった金融商品取引法=日本版SOX法をベースに、情報サービス会社が対処すべき内部統制に関したものになる。
 社会的に影響のある情報システムのトラブルなどで業界全体の信頼性が低下していることを受け、同協会は今年5月に、13年ぶりに倫理綱領を全面改訂した「JISA行動憲章―情報サービス産業CSR宣言10箇条」を策定した。
 また、5月に施行された新会社法や08年度実施予定の日本版SOX法もあり、上場企業だけでなく、多重階層的取引(下請け取引)の対象となる会社やエンドユーザーを持つ中堅・中小の情報サービス会社も含めた業界全体での対応が必要と判断した。
 今回は特に、受注ソフトウェア開発事業を展開している情報サービス会社を適用企業としている。対象となる項目は、売上高や労務費・外注費など製造原価、仕掛品など。一方、対象の業務プロセスは、受注活動から売上げ計上、請求、回収にいたる一連の業務、およびITを提供する立場としてのIT統制となる。
 これに伴い、「情報サービス産業における内部統制ガイドライン策定事業」として委託先の公募を開始した。また、業界だけでは会計上および法律上の偏りが出るため、公認会計士協会などの外部団体や法律事務所などとの連携も取りながら策定していく考えだ。
 ガイドラインの公表時期は、日本版SOX法に対する関連府省の具体的なガイドライン策定の時期が明確でなく、「実際に公表されてから本格的に審議に入る」ことになるが、当面は今年度事業として来年3月を予定している。


 情報サービス産業協会 http://www.jisa.or.jp/