JISAが倫理綱領を全面改訂
06 6/12 情報サービス産業協会(JISA)は、一般社会に対する業界のあるべき姿を明らかにする新たな倫理綱領「JISA行動憲章―情報サービス産業CSR(企業の社会的責任)宣言十箇条―」を策定した。IT業界は社会基盤を支える基幹産業であることから、社会的責任を全うできる企業体質が求められており、コンプライアンス(法遵守)を重視した内容を盛り込んだ。倫理綱領自体は13年前の93年に改定されているが、現状に合った項目に全面的に書き換えたもので、「より具体的で実践的な内容になった」ことから、業界のステージアップに期待がかかる。
JISAは昨年度、棚橋康郎・新日鉄ソリューションズ会長を新会長とする首脳人事を行っており、新首脳体制による基本方針として@魅力ある産業へAソフトウェア・サービスの価値の確立BICT市場全体を視野に入れた活動C政策提言活動の活発化を掲げた。
今年度は、経済や社会のインフラとなった情報システムを支える基幹産業であることを意識し、前年度の@とAを継承しつつ活動の重点項目として新たに「コンプライアンス経営の推進」をうたった。今回の倫理綱領となる行動憲章はこれをもとに「全面的に改定した」としている。
13年前の93年には2回目となる倫理綱領の改定を行い、基幹産業を目指すにふさわしいモラルの確立をうたった。現在は業界を取り巻く経営環境の急激な変化に加え、情報サービス産業が社会の基盤を担う基幹産業として認知され、社会的重要性がますます高まっている状況にある。
しかし不正会計処理やシステム停止など不祥事が続いてIT業界に対する社会的不信が強まっているとの危機感から、まず業界内の各社がコンプライアンスを強化し、健全な経営と安心・安全を提供できる基盤作りを推進していくことにした。
具体的には@基幹産業としての社会的役割を自覚し全うするA高品質かつ安全性・信頼性に富む情報サービスの提供B知的財産の価値を正しく認識し尊重するC法令及び社会規範遵守の経営を実践するD事業活動と情報サービス市場の透明性の確保E優秀な人材が育ち活躍できる環境の確立F情報技術のプロフェッショナルとして自覚と職業倫理を保持できる環境の確立G新たな夢と可能性にチャレンジする経営の実践H経営者は自らの責務として本宣言を実践するI業界のモラルと自浄能力を維持・向上する―となっている。
策定に当っては、会員の意見およびコンプライアンス経営に関するアンケート調査などを参考にした。社会の信頼に足る業界に脱皮するためにも行動憲章の推進に期待感が高まっている。
情報サービス産業協会 http://www.jisa.or.jp/