国立情報学研究所とNASAがクラウド基盤を相互連携
10 6/15
国立情報学研究所(NII)と米航空宇宙局(NASA)は提携し、NIIが開発した教育用クラウド環境「エデュベース・クラウド」と、NASAの「ネビュラ・クラウド」を相互接続するための共同研究を開始した。NASAが海外の研究機関と同分野で提携するのは、今回が初となる。エデュベースは40TB、ネビュラは100TBのストレージ容量を持つ大規模な研究用クラウド環境で、双方ともに同様のオープンソースソフト(OSS)を活用したクラウド基盤であるために連携が容易で、共同研究はメリットが大きいと判断し、提携に至った。
今回の提携により両者は、双方のオープンなクラウドインフラ環境の相互運用を実現するための研究を行っていく。オープンクラウド基盤の世界標準構築を視野に、プログラムの連携や利活用、データの共有などを促進する。
日本では、政府の成長戦略の中にクラウドコンピューティングを活用した新しい市場の創出があげられているが、米国でも「オバマ政権のもと、NASAのクラウドインフラ技術は大いに注目されている」(NIIアーキテクチャ科学研究系横山重俊特任教授)という状況にある。
NASAは、「NIIのクラウドと連携して技術を共有することで、科学者たちはITインフラでなくそれぞれの本来のミッションに集中できるようになる」(NASAクリス・C・ケンプCTO)と、期待感を表している。また、今回NIIと提携に至った理由として、「学術志向のクラウドを所有していること、クラウドの事例を持っていること」などを挙げている。
NIIのエデュベース・クラウドは、大学を拠点として高度IT人材を育成する文部科学省の事業の一環で、各拠点間での学習を円滑に進めるための“学術クラウド”として開発した。しかし、同事業は政府による先の事業仕分けにより廃止が決定しており、同クラウドの今後の有効活用方法が定まっていない状況にある。
そこでNASAとの先端分野での研究を通じて、IT分野の国際的な潮流に乗るとともに、クラウド分野での日本のIT技術力を国内外にアピールするねらいもある。
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