JUASが震災後のIT投資計画を調査

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 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は、3月11日に発生した東日本大震災の影響をふまえて「企業のIT投資動向に関する調査研究(企業IT動向調査2011)」の追加調査を実施した。それによると、2011年度のIT予算を東日本大震災以前の予定と比較して、全体では「不変」との回答が85%にのぼり、震災はユーザー企業のIT予算にほとんど影響しないことがわかった。このほかにも事業継続計画(VCP)に関する調査も実施しており、BCPを見直す企業が相次ぐなど震災を経てBCPに対する注目度が高まっていることが明らかになった。

 JUASは、すでに2011年度調査を東日本大震災前に実施済みだったが、震災後に改めて同調査に回答した537社の部門長に対し、5月10日メールにて追加アンケートを実施した。質問内容は、11年度のIT予算とBCPに関するものとなっている。
 まず今回の震災で「直接・間接被害があった」企業は「全体」の4分の3で、「製造業」では9割弱と高かった。被害の要因は、「施設や設備が稼働できなかった」が4分の3で、「電力や燃料の調達」や「仕入れや材料・部品調達」ができなかったがそれぞれ4割強だった。
 「東日本大震災の11年度IT予算への影響」は、85%が「不変」と回答し、「増加」と「減少」が同じ割合で存在している。業種グループで見ると、「素材製造」と「サービス」で増加し、「重要インフラ」「金融」が減少するという傾向が見られた。
 BCPの策定状況に関する質問項目では、「BCPを定期的に見直す」が震災当時と今後を比較して15%から38%へと約2.5倍増加し、「BCPの策定予定なし」の企業は20%から5%へと激減した。
また、BCPの見直しを行うポイントとして、「外部データセンターの活用」を「導入中」と「検討中」の企業が4分の3に達し、「クラウドコンピューティング」と「在宅勤務」を「検討中」の企業が急増した。

 

 過去のデータをさかのぼると、BCPを策定していた企業でも、地震・津波などの自然災害対策の訓練を実施していた企業は09年で「企業全体」「IT部門のみ」を合せても32%と、そもそもこれまでのBCPには実効性に問題があったことが浮き彫りとなった。

 

関連リンク

日本情報システム・ユーザー協会 企業IT動向調査2011/企業IT動向調査2011 追加調査