コンビニがICタグ導入へ始動

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 コンビニ大手5社が、経済産業省と2025年までに全商品にICタグ(RFID)を付けて商品を管理することで合意し、共同で「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を発表した。コンビニでの労働力不足問題に対応することに加え、ICタグで取得した情報の一部を、商品を供給するサプライヤーなどに公開し、運搬や廃棄ロス削減などの効率化を図る。2018年をめどに一部地域で実験を開始する計画だ。
  ただし、まだ解決しなければならない問題は山積している。メーカーによる貼り付けの手間、タグの廃棄などあるが、一番大きいのはタグのコストだ。タグのICチップとアンテナ、シール化などの加工に関する費用が、1個1円以下という条件をクリアしなければならない。10年ほど前に経産省のプロジェクト(響プロジェクト)で世界の標準化を視野に入れたICタグ開発が行われたが、日本的モノ作りで技術的に良いものはできたがコスト面で普及に至らなかったという過去もある。
  技術的以外でも、店舗・従業員側、利用者側の問題も大きそうだ。今のあり方をそのままIT化、省力化して置き換えていくとひずみが生ずる。取り扱う商品もタグのコストを載せる分、価格やまとめ売りについて考える必要があり、何よりサービスという部分で、現場で混乱が起きそうだ。導入される頃には、国民の高齢化が進み、技術についていけない人が多く出てくる。それで腹をたてて文句を言い、仕事を効率化するために導入したにもかかわらず、別の意味で店員の負担が増えるということになりかねない。
  導入にあたり、店員の働き方から販売方法、さらにはコンビニのあり方の見直し、購買者への意識付けも必要になるだろう。ITを含めたサプライヤーは技術だけでなく、利便性、現実性という部分でしっかりと検討し、国とコンビニ各社は実施に向け徹底することが必須だ。 (I)