ペッパーの更なる成長に期待

17 2/20

 人型コミュニケーションロボットとして市場の先頭を歩くソフトバンクロボティクスの「Pepper(ペッパー)」。登場時ほどは注目されなくなったが、逆に街中で目にする機会は増えた。
  ただ、ロボットに対して適切な表現であるかはともかく、彼らは所在無げにしていることが多く、あまり有効に活用されているようには見えない。ロボットの無機質性と相まって、悲しげにさえ見えてしまう。
  正直なところ自宅などのプライベートな空間ならともかく、1人の時に店頭などで親しげに話しかけられてもあまり会話はしたくないし、尋ねた内容や要望を声に出して復唱されたりするのも恥ずかしい。場合によっては、「こんなことができる」というものをただ見せつけられているように感じることもある。まだペッパーができることと、利用者が心地よさを感じることとの間にギャップがあるのは否めない。
  労働力不足のなかで、人型のロボットとはいえ、人の代わりをさせようとしても動作性能的に限界があり難しい。やはり人ができない仕事をこなしてもらうとか、使い方や棲み分けを重視すべきだ。かつてスマホが、携帯電話でPCの操作性と機能を再現しようとしても普及せず、革新的なiPhoneの登場によってブレイクしたように、いわゆる置換え型のITとして見るのではなく、物差しを変えて測る必要がある。
  それでも先進的な事例や実証実験、新サービスの発表は続き、活気がないという訳ではない。IBMのWatsonをはじめとする人工知能との連携も進むと思われ、オリンピックを控えて多言語での外国人おもてなしにも期待がかかる。ペッパーが完全にデファクトとしてオンリーワンのポジションを確立していく必要はないが、コミュニケーションロボットの未来を左右するポジションにあるペッパーには、健全な成長を期待してやまない。    (I)