モノづくり版デジタルビジネス

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 アマゾンジャパンが、国内のモノづくりベンチャーの支援に乗り出した。IoTやウェアラブルといった最新のデジタル技術によって、日本の強みといわれてきたモノづくり分野の新しい芽を育てて製品を発掘し、商材を充実させてアマゾンストアの更なる成長につなげる。
  正確に言うと、2年前から米国などで開始されていたプログラムが日本でも始まったという形だが、お披露目会見の席で行われたセッションには経済産業省の新規事業調整官、若手の自民党議員も登壇し、なかなか育たないベンチャー/失敗が許されない起業家―という日本の問題点を引き合いに出しつつ、大きな期待感を表していた。
  昨今のテクノロジー系ベンチャーといえば、ほとんどがソフト、IT系だった。アイデアが起業に結び付きやすい反面、必ずしも日本が強い領域ではなく、1億2千万人という市場があるがゆえに世界を見据えたものもあまりなかった。これに対しハード系は、設備投資や在庫管理などのコストがかかるため、なかなかベンチャーが誕生しづらかった。そのうえ、強みと言われた製造業、特に家電分野などではイノベーションが起こらず品質や機能改善でコツコツ積み重ねてきたメイドインジャパンブランドも通用しなくなり、どんどん海外製品に市場を奪われてきた。
  エンタープライズITの領域では、IT、特にソフトを活用したイノベーションで新しいビジネスを創出する「デジタルビジネス」が今年のキーワードとなりそうだが、同様にモノづくりの世界でも、これまで培ってきた組込みの技術力を活かせる好機ではないか。このプログラム(ローンチパッド)はベンチャーキャピタルなどの投資、出資を得ているスタートアップが対象なので、IT企業の新規ビジネスにという訳にはいかないが、モノづくりとITという組合せに今、大きな隙間があるのを見逃すべきではない。   (I)