テレワーク推進と働き方改革

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  政府は現在、長時間労働の改善、配偶者控除などの税制改正、非正規雇用者の処遇改善など働き方改革に向けて審議を重ねている。
  ITサイドで働き方改革を支援する際、一番近い部分がテレワークだろう。先日総務省は、積極的にテレワークに取り組んでいる企業を認定する「テレワーク先駆者」と「同百選」を発表。2年目となる今年は「総務大臣賞」を制定、サイボウズ、ブイキューブ、明治安田生命、ヤフーの4社を選出した。先駆者企業には情報サービス企業が多く名を連ね、NTTデータ、富士ソフト、シーエーシーといった一部上場企業と並び従業員数26人のクエスト・コンピュータなども百選に選出されている。
  IT業界の仕事はテレワークとの親和性は高く、事実百選の多くがIT系企業だ。ただ、総務大臣賞にあるようにサービスやツールを提供する企業が強く、受託開発型SI会社は弱い。SI系でも、実践・実績が問われる百選にはクラウドやモバイルアプリといった時代に則したサービスを提供している企業が選ばれている。
  背景には、顧客である企業や国・自治体ユーザーの理解を得ることが容易ではないという業態の問題がある。政府の方針という後押しで進めやすくなってはいるものの、使いこなすためには顧客やパートナーとの関係という制度以外の部分を腰を据えて変えていく必要がある。紙面でも紹介したが、12年前から地元で働くということを念頭に雇用段階から制度作りに取組み、育児休暇の社員を対象に実施しつつ、やっと今年になって本格展開を開始した業界企業もある。週何回というレベルではなく、故郷に帰り、完全にテレワークで仕事を行うという形だ。
  従来型のSIビジネスのまま、次世代型の働き方に合わせていくのか。働き方改革の動きは、情報サービス業界にとっては業態改革も考える契機となっているように思える。(I)